和名は塩狩タモギ茸。担子菌類のマツタケ目シメジ科ヒラタケ属で、別名、夏茸、黄金タモギ茸ともいわれています。
 このタモギ茸は、北海道、東北地方に限定するヤチダモ(落葉広葉樹)の倒木に五月下旬から八月下旬にかけて発生する原生の茸です。
 色は深黄色で、アンシアの花のような独特の香りがあります。
 JA和寒町の農業組合法人・塩狩きのこ生産組合(北海道)が人工栽培に成功し、農林水産大臣賞を受賞しました。タモギ茸は20日間で短縮栽培ができ、しかも850ミリリットル瓶で110グラムの収穫ができるようになったのです。

タモギ茸の成分と作用

●多糖体β−Dグルカン(1、3)(分子量1万〜200万)

 インターフェロンやインターロイキンの生成を活性化し、マクロファージ、NK(ナチュラルキラー)細胞の活性化と働きの促進により免疫を高め、制ガン作用、ガン細胞の消滅や増殖を制御する効果 があります。血糖値を下げる作用もあります。抗ウイルス性があり、B型、C型肝炎の改善効果 があります。
 タモギ茸はこのβ−Dグルカンを他に類をみないくらい多量に含有しています。また、α−Dグルカン(分子量 3万)に抗腫瘍性があるという報告があります。

●消化酵素
 アミラーゼ、トリプトファン、マルターゼ、キチナーゼ、セナーゼなど消化を助ける働きがあります。

●食物繊維や不消化性β−グルカン
 痛便改善、発ガン性物質の吸着排泄、コレステロール低下、ダイエット効果 があります。

●不飽和脂肪酸
 生活習慣病の予防、血糖低下作用、糖尿病改善効果、動脈硬化の改善等があります。

●ビタミン類(ことにビタミンB群が豊富)
・ビタミンB1 : 抗神経炎作用があります。
・ビタミンB2複合体 : 成長促進、脂肪代謝促進、抗酸化性等があります。
・ナイアシン : 神経正常化、消化系の働きを助けます。ペラグラ、うつ病に効果 的です。

●エルゴステロール
 100グラム中、393ミリグラムと多量に含まれ、ビタミンD2作用と骨粗鬆病改善と予防効果 があります。

●ミネラル
・鉄 : 100グラム中、12.8ミリグラム含有。貧血を改善し、素肌を美しくします。
・カルシウム : 100グラム中、3.7ミリグラム含有。骨や歯を強くします。血液のPHの調整をします。
・その他、リン、カリウム等が含まれています。

●その他
 最近は皮膚のコラーゲンやメラニン色素との関係、アトピー性皮膚炎の改善などの効果 も指摘されています。抗酸化作用により皮膚表面の酸化を防ぎ、コラーゲンの損失を防ぐのです。

 タモギ茸に含有される高分子蛋白には強い抗酸化性があり、活性酸素を消去する働きがあります。これは高分子蛋白が血液に吸収され、直接活性酸素を消去したり、もともと体内にある活性酸素消去物質を増すからです。
 また、タモギ茸には蛋白質と糖類が比較的平均して含まれています。
 含有されるステロイドはガン細胞の細胞膜を通過し、細胞質にある特異なステロイド結合タンパクと結合して、ガン細胞を融解、壊死させる働きがあることが知られています。これはリンパ腫、白血病、ホジキン病などに有効で、とくに慢性白血病に有効です。また自己免疫性溶血性貧血、血小板減少などの合併症に有効との報告があります。
 子宮頸ガン細胞(HeLa細胞)の増殖を抑えるビタミンDの前身エルゴステロール(100グラム中、393ミリグラム含有)は直接の抗ガン作用はありませんが、これから合成されると考えられるステロイド類には、ガン細胞の増殖を抑制する働きがあります。
 また、副作用はありません。白血球、リンパ球も減少せず、正常細胞への影響がありません。